岡田広行

福島市や全村民が避難を余儀なくされている福島県飯舘村など、福島第一原子力発電所からの放射性物質で汚染された地域で、動物や植物に異常が多く見られることが研究者による調査で明らかになった。 筑波大学のランディープ・ラクワール教授: つくば市内の研究所で育てた稲の苗を、飯舘村内の試験農場に持ち込んだうえで、放射線の外部被曝にさらされる屋外に置いた。飯舘村の試験農場に到着してから6時間後に採取したサンプルではDNA損傷修復関連の遺伝子に、72時間後ではストレス・防護反応関連の遺伝子に変化が認められた。 琉球大学の大瀧丈二准教授: ほかの地域と比べて福島県内のヤマトシジミでは、羽のサイズが小さい個体が明らかに多いことがわかった。地面の放射線量と羽のサイズを比較したところ逆相関が見られ、線量が上がっていくにつれて羽のサイズが小さくなる傾向が見られた。生存率も大幅に低くなり、死に方でも明らかな異常が多く見られた。 東京大学の石田健准教授: 帰還困難区域に指定されている浪江町で野生のウグイス4羽を捕獲したところ、うち1羽から今までにウグイスでは見たこともないおできが見つかった。驚くほどの病状で、このウグイスには血液原虫も寄生していた。また、捕獲したウグイスの羽毛を持ち帰って放射線量を測定したところ、大量の汚染が判明した。 羽山伸一・日本獣医生命科学大学教授: 福島市内で捕獲された396頭のサルについて土壌中のセシウムの量と筋肉中のセシウム濃度の関係を検証した結果、土壌汚染レベルが高いところほど、体内のセシウム蓄積レベルも高い傾向があることがわかった。また、木の皮や芽を食べることが多く、土壌の舞い上がりが多い冬期に、体内の濃度が上昇している。